第一部 ~ 事業承継を知る ~
親族内承継と親族外承継
後継者を決める前に、親族内に承継させる場合と親族外に承継させる場合の
それぞれのメリット、デメリットを確認しましょう。
- メリット
- 社内、社外の人間からの理解が得られやすい
- 早期に後継者としての指名ができ、育成・承継期間を長く取ることができる
- 事業用の資産や自社株式を相続等により後継者に移転することができる
- 所有と経営の分離を回避しやすい
- デメリット
- 単なる流れで後継者になるケースや、押しつけで仕方なく後継者になる
ケースがある(経営意欲に欠ける) - 複数の相続人が会社にいる場合、後継者の決定が難しい
- 後継者である相続人と、後継者でない相続人とのバランスをとることが難しい
- 娘婿が後継者となる場合、相続権がないため、自社株式の移転のさせ方が
難しい
- メリット
- 社内、社外から幅広く後継者候補を募ることができる
- 長期間勤務し、事業について熟知している従業員であれば、経営の一体性を
保ちやすい - M&Aであれば、現経営者が会社売却等の利益を獲得できる
- デメリット
- 親族に比べ、経営者の意志を引き継いでくれる適任者が見つかりにくい
- 相続権がないため、自社株式の移転のさせ方が難しい
- 所有と経営が分離してしまいやすい
- 個人債務保証の引継ぎが難しい
- M&Aであれば、希望の条件を満たす買い手をみつけるのが難しく、買い手に
よっては、従業員の士気や、経営の一体性を保つことが難しい
資料:(株)東京商工リサーチ「後継者教育に関する調査」(2003年)