第一部 ~ 事業承継を知る ~
中小企業における事業承継対策の心得
- 「対策」とは
- 先ず、「いつ、何を、誰に、どのように」承継させるのかを決め、そこで生じるであろう問題を事前に把握し、解決方法等を策定すること。
つまり、対策を行う上で大切なことは、先ず、「何を、誰に、どのように」承継させたいのかを考えることとなります。それが決まらなければ、問題点がハッキリせず、対策もできません。 - 慎重に実行に移すこと!
- 事業承継対策には、申告や登記、名義変更などが必要になることが多く、一度実行に移すと、やり直しはまずできないと思って下さい。
対策を実行に移す前に、様々な角度から十分な検討をしておくことが必要です。 - 必ず実行すること!
- 先の章でも紹介しましたが、事業承継には様々な問題がつきまとうこととなります。何の対策もなしに、円滑に事業承継できるケースは稀といえます。
事業承継に失敗してしまうと、会社の資金や事業用資産、経営権、従業員のモチベーション、取引先との関係、お客様などすべてに悪影響を与える恐れがあります。
事業を永続的に発展させたいという経営者の願いに致命的なダメージを与えることとなります。そうならないためにも、早めに事業承継対策を策定し、確実に実行できるようにしておくことが必要です。 - 自社株対策は必須といえる!
- 後継者にとって「自社株」は、換金が困難な一方、多額の税金が必要になることが多いため、納税資金の問題に繋がりやすいものです。
さらに、相続財産のほとんどを自社株が占めるような場合は、遺産分割が難しく、生前から対策を行っていなければ、相続人間の紛争の原因ともなります。
つまり、「自社株対策」は、中小企業にとって最も重要なポイントといえます。
- 事業承継計画書の必要性
- 事業承継には、様々な問題がつきものです。何かに偏った対策をしてしまっては、また新たな問題を発生させてしまうことになります。
また、相当の期間を要する対策もあれば、税制改正等の環境の変化により、対策の修正が必要になることもあります。
このように、事業承継対策は複雑になりがちなので、計画表を作成し、進捗や着地点を整理し、いつでも把握できるようにしておくことが大切です。
- 事業承継計画策定のポイント
- 現状分析
- 「いつ、何を、誰に、どのように」を整理する!
- いろいろな視点から対策を考える!
資料:中小企業庁/中小企業事業承継ハンドブック 29問29答 平成22年度税制改正対応版