税務当局との交渉成功事例
路線価地域にある土地を倍率方式により評価した事例
評価する土地は、市街化調整区域まで約300mという市街地山林(路線化地域)であった。
現況は古墳と河川に挟まれた無道路地で事実上、宅地開発できない土地であったことから、資料を集め、税務署に行き、隣接する市街化調整区域内にある山林に準じて評価(倍率方式)するのが妥当ではないかと交渉したところ、主張が認められた。
路線価で評価すると1億2,500万円だったが、倍率方式で計算が認められ、結果、750万円の評価でOKとなった。
節税額は3,000万円ほどであった。
側方路線がある土地に側方加算を使わなかった事例
評価する土地は二方に道路がある宅地であった。一方の道路は宅地に面しているが、側方は上り坂になっており、その宅地から出入りができないことから、写真などを持って税務署へ行き、側方の道路については斟酌をしなくていいのではないかと交渉したところ、主張が認められ、一方に面した宅地として評価することとなった。
二方路線で評価すると1億1,300万円だったが、一方路線でOKとなったので9,600万円の評価となった。
節税額は170万円であった。
側方加算の代わりに二方加算を適用した事例
評価する土地は二方に道路が面している宅地であった。一方の道路は宅地に面しているが、側方は下り坂となっており、途中までは階段になっていることから、写真などを持って税務署へ行き、側方加算は適当ではない旨を伝え交渉したところ、側方路線加算に代え、二方路線加算でOKとなった。
側方路線で評価すると3,700万円だったが、二方路線で評価すると3,600万円となった。
相続税がかかるかどうかぎりぎりだったが、この評価減のお陰で相続税はかからずに済んだ。
借地権の無償返還が認められた事例
地主さんから「借地権者が子供と同居することとなったので借地権を無償でお返ししたい」と言われているのだが、課税関係が心配だと相談されたケースである。
建物を見てみると、全く住めないという状態ではなかったが、そこそこ古く、借り手を見つけるにも難しいという状況だったので、住めない状態にあるといえるような箇所を写真に撮って税務署に持って行ったところ、「ちょっと住めないですね」ということで借地権の無償返還が認められた。
地主さんは、課税関係無しで借地権を取り戻すことができた事例である。
都市計画地域にある土地の評価を下げた事例
現在は都市計画区域にある土地でセットバックを要する宅地の評価は、セットバック部分は30%減額するという通達があるが、この事例は、まだその通達が出されていなかった時の話である。
当時はこうした取扱いは公にされていなかったので、一般的には知られていなかったのであるが、たまたま、セットバック部分は減額してもよいという税務署の内部研修資料を目にしていたので、税務署に行って確認したところ、30%相当額の減額をしてもよいとのことであった。
これにより、土地の評価額が1,800万円下がり、600万円の節税となった。