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上手な生前相続税対策(6) 無用の長物

地主さんの悩みの種のひとつに借地権がある。土地の固定資産税は上がっていくが、地代はなかなか上げられない。相続税の評価はというと、底地の評価になるのだが、その評価額で第三者に売却することはまずできない。それほど利回りが悪いということである。

借地人に立ち退いてもらって一画を有効活用しようとしても、権利関係が調整できず、また、莫大な費用がかかるため、採算のとれる有効活用は皆無といっていいほどだ。また、物納しようにも、借地人が「ウン」と言わなければ認められない。なんとも、厄介なものである。

借地権を買い取るのが困難であるならば、いっそ、底地を借地人に売却して処分してしまってはいかがであろう。借地人は、その底地がほしいと潜在的に思っているものである。資金の手当てができれば、取得したいのである。

買い取りが難しい、買い取ってもそこだけでは活用のてだてがない、収支が悪い、物納に充てるのも難しい、底地の時価が相続税の評価額に比べて安いという場合には売却を考えてもらいたい。譲渡税はかかるがその分、相続税の負担も軽くなるし、納税資金としてプールしておくこともできる。事業資産の買換えの適用を受けて、別の土地を取得し、事業に供すれば譲渡税の負担を軽減することも可能である。借地人から底地を買い取らせてほしいという話があれば、チャンスだ。検討してみる価値はある。

なお、底地だけでなく、どんな土地であっても利用価値がほとんどなく、かつ、相続税の評価はそこそこするという土地については、この際、売却を検討してみてはいかがであろう。

財産はバランスよく所有するのが一番である。それが、リスク回避にもつながるし、相続税の納税資金に悩むこともなくなるし、ひいては、遺産分割もスムーズにいくことにもなるのである。

(『生前遺産分割のすすめ』より抜粋)

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